週刊 法会労メールマガジン
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毎週金曜日発行
2025年3月14日
【第609号】
法律事務所等で働くみなさんこんにちは!
法会労メールマガジンです。
民事裁判手続きのIT化を実現するための改正民事訴訟法等は遅くとも来年(2026年)5月25日までには全面施行となります。あと1年ちょっと。だいぶ迫ってきましたね。
どうも施行当初は現在稼働中の民事裁判書類電子提出システム、通称mintsを利用してオンラインでの提訴・書面提出等の手続きをすることになりそうなことも漏れ聞いています。
今後は、民事通常訴訟のみならず民事執行・民事保全・倒産及び家事の各事件手続きに関しても改正法(令和5年法律第53号・2023年6月6日成立・同月14日公布)が公布から5年以内に施行予定となっています。
刑事事件についてもIT化の検討がなされ、昨年(2024年)2月には法制審にて法改正の要綱がまとめられ法務大臣に答申されました。
そのまま国会審議されるかと思われましたが、このときは「優先処理する法案を抱えているため」法案上程が見送られました。
それが今年(2025年)2月28日に改めて刑事事件のIT化についての改正法が国会に法案上程されたようですね。
私たちの仕事の関係では、記録謄写が特に目立った改正点でしょうか。
刑事事件の記録謄写と言えば、これまで紙で存在している記録を、紙にコピーするという方法で弁護人は手間も費用もかけていましたが、記録が民事事件同様にデータとなりますので、記録を入手する方法が大きく変わりそうです。
他にも大きく手続きが変わりそうですので、ご興味のある方は以下あたりのニュースをご覧いただければと思います↓
時事通信「オンライン請求で逮捕令状 政府、刑訴法改正案提出」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025022800326&g=pol
もっと詳しくお知りになりたい方は、衆議院に提出された法案をご覧いただくと良いでしょう↓
情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g21709030.htm
(編集長)
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【今週の掲載記事】
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■お役立ち過去記事紹介
■お仕事やってみたシリーズ
刑事事件 不起訴記録の謄写をしてみた その2 直接検察庁に申請書を送って手続きしようとしたけれど…
■研修会等企画のご案内
■業務に役立つ書籍紹介
■事務員あるある
■お仕事ミニ情報
登記官の職権による名義変更登記を法務省が「スマート変更登記」と名付けた模様
■法会労って?
■今週の雑学知識
■編集後記
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【お役立ち過去記事紹介】
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Wordの差し込み機能を使えばたくさんのメールアドレス宛に個別の内容でメールを送ることができることをご紹介しています。
第397号【私のお仕事紹介】
ワードの差し込み機能で約100人に個別のメールを送ってみた
https://houkairoumerumaga.seesaa.net/article/202011article_2.html#1
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【お仕事やってみたシリーズ】
刑事事件 不起訴記録の謄写をしてみた その2 直接検察庁に申請書を送って手続きしようとしたけれど…
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前号から、刑事事件における不起訴記録の謄写をしてみた体験談をお届けしています。
前回は、そもそも不起訴記録ってどのようなものなのか?どういった場合に謄写をすることがあるのか?といったあたりをご紹介しました。
バックナンバーはこちら↓
第608号【お仕事やってみたシリーズ】
刑事事件 不起訴記録の謄写をしてみた その1 そもそも不起訴記録って?
https://houkairoumerumaga.seesaa.net/article/hmm608.html#1
今回は、この不起訴記録を実際に謄写しようとしたところ、少々障害がありましたので、そこらへんをご紹介したいと思います。
まず、不起訴記録を謄写するとなると思いつくのが弁護士会照会かと思います。
東京弁護士会の弁護士会照会のマニュアル(「弁護士会照会制度」第5版、商事法務)を見ると、東京地検と横浜地検管内のみ特例として不起訴記録を取得するための手続きについての記載や書式があります。
主に交通事故の案件に関しては、弁護士会照会を利用することもあるでしょう。交通事件以外に関しても弁護士会照会を利用することが可能なようです。
ただし、弁護士会照会を利用する場合、どうしても一定の費用がかかってしまいます。
前号でもご紹介しましたが、刑事事件の被害者は、弁護士会を挟まずとも、直接、検察庁に対して不起訴記録の閲覧・謄写を申請することが可能です。
今回の事案は、交通事件ではない刑事事件の被害者が依頼者で、その依頼者を代理して不起訴記録を閲覧・謄写するような必要がありました。
どこの検察庁にて手続きをしたのか詳しいことは事情により書けませんが、司法協会に謄写を依頼できるような比較的都会にあるというか大きな検察庁でした。ちなみに東京ではありません。
他の検察庁でも同じように手続きができるか否かまでは検証していませんのであくまでも「ご参考」にということでご紹介します。
まず、対象の検察庁(以下「A検察庁」)の記録係にどのように手続きをすれば良いか電話で確認をしました。
事情を話し、不起訴記録の閲覧・謄写をしたいと相談したところ「当庁の書式で閲覧謄写申請をしてください」とのことでした。
では書式をいただけますか?と聞いたところ、なぜか「FAXでも郵送でも一切書式を送るような対応はしていないので、窓口に取りに来てください」とのこと。
こちらから切手を貼った返信用封筒を送っても?FAXでも本当にダメ?と粘りましたが、一切送ってくれないそうです。なんで?
実は、以前に東京地検の立川支部で不起訴記録の謄写をしたことがあるのですが、その際には、書式どころか説明書まで送ってくれたので、違いに驚きました。
A検察庁は、行って行けない距離でもありません。しかし、書式「さえ」あれば郵送での申請にも対応するとのことですので、なんとかならないものか弁護士と検討しました。窓口に行っちゃった方が早いんじゃね?なんてことは言いっこなしでお願いします。
弁護士は、知り合いの特に交通事件をやっている弁護士に当たりました。私は、法律事務員の全国組織、法律事務員全国連絡会(略称:法全連)のツテでA検察庁管轄の事務所の知り合い数名に連絡を取りました。入っていて良かった法全連。やってて良かった法全連事務局。
そして見事ゲット。A検察庁の書式に加えて、同時に出すと良いと教えてもらった司法協会への謄写委任状の書式です。
ついでに、依頼者から弁護士への民事事件の損害賠償請求訴訟を提起するための委任状(写しでOK)も一緒に提出した方が良いとアドバイスももらいました。
ありがたいですね。事務員の仲間たち。
で、実際に閲覧謄写申請書と必要書類を整えて提出したわけですが、そこで気付いた点やちょっとミスった点もあったのですが、長くなりましたので、次回、続きをご紹介したいと思います。
(編集長)
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【バックナンバー】
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【第606号】
■動画・音声データの編集だけじゃない!Clipchampで文字起こし/
■郵送での戸籍謄本等の取寄せキャッシュレス決済 墨田区は新システムへ
https://houkairoumerumaga.seesaa.net/article/hmm606.html
【第607号】
■法律事務所の仕事で活用PCアプリ イチオシはこれ!/
■登記事項証明書等の発行手数料値上げ 2025年4月1日から
https://houkairoumerumaga.seesaa.net/article/hmm607.html
【第608号】
■刑事事件 不起訴記録の謄写をしてみた その1 そもそも不起訴記録って?/
■判例時報 2025年4月から月2回発行で横書きに
https://houkairoumerumaga.seesaa.net/article/hmm608.html
これまで配信してきました全てのバックナンバーは以下からご覧いただけます!
週刊!法会労メールマガジン バックナンバーブログ
https://houkairoumerumaga.seesaa.net/
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【研修会等企画のご案内】
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【2025年度日程決定!!】
※申込みは2025年3月14日から
■■■ 東京弁護士会 基礎講座・中級講座 ■■■
雇用弁護士からの申込みが必要ですが、雇用弁護士が「東弁会員でなくとも」受講可能な法律事務員向けの研修講座です。
戸籍・住民票・登記・民事訴訟・保全・執行・家事事件・簡裁事件・相続・刑事・少年・破産・再生・担保取消・供託・破産管財等、法律事務員が関わる様々な案件を幅広く学ぶことができます。おそらくラインナップ・充実度では業界トップレベルでしょう。
東京の方はもちろん、地方の方も雇用弁護士の承認のもと受講できます。ご活用いただくと良いでしょう。
詳細は、東京弁護士会のホームページ「法律事務所職員の方へ」をご参照ください↓
https://x.gd/s2rsp
■■■ 日弁連・事務職員能力認定制度のご案内 ■■■
日弁連・事務職員能力認定制度のご案内です。
この制度は、法律事務員の社会的地位向上を求めて、
全国統一研修を実現させるため取り組まれた、全国の事務員の署名活動が
日弁連を動かして2008年にスタートした事務員のための制度です。
現在は、研修と試験が分離されて、より利用しやすくなっています。
★認定研修はeラーニングで受講が可能です。
また、過去の研修がライブラリ化されています。
これによりPCで、無料で、いつでも、何回でもスキルアップにつながる研修を受けることが出来ます。
是非、受講申込みを!
詳細は日弁連ホームページの法律事務職員のページをご参照ください↓
https://www.nichibenren.or.jp/staff.html
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【業務に役立つ書籍紹介】
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■法律事務職員のための実務情報誌「法律事務」
第48号 相続財産清算人(管理人)の現場
―財産管理の実務講義録と事例紹介―
2021年に開催した全国交流会のLIVE研修をベースに、講師の柴田未来弁護士の監修のもと、誌上実務講座用にまとめました。
相続財産管理人の選任から終結までの流れ、弁護士と事務員の役割分担、事件のエピソードなど盛りだくさん。
柴田弁護士と法全連幹事の経験交流も掲載しました。
今号も実務に役立つ一冊となっています。
2023年7月発行
頒価1,200円(税込・送料別)
ご購入申込み及び詳細は以下の法全連ホームページ「法律事務」のページをご参照ください。
https://houzenren.com/houritujimu.html
■JALAP(日本弁護士補助職協会)の書籍は現在改訂作業中です。
■今日から弁護士秘書~事務職員新人独習テキスト
法律事務員さんの日常業務のキホンのキをコンパクトな分量で解説しています。書籍版は200円で販売していますが,PDF版はなんと!無料で配布しています。
法律事務所用語集では「J庁」「赤い本・青い本」「Z折り」など初心者には「なんのこっちゃ?」な用語が集められています。
https://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/publication/book/secretary.html
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【事務員あるある】
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お昼休み中に先生から業務指示、「お昼ごはん食べてからで良いですか?」と、今お昼休み中であることを匂わす
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【お仕事ミニ情報】
登記官の職権による名義変更登記を法務省が「スマート変更登記」と名付けた模様
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「スマートフォン」の名称から取っているのでしょうか、世の中、スマート◯◯というサービス・製品をよく目にしますね。
スマートフォンのように、便利に素早く何がしかができてしまうイメージでしょうか。
例えば、高速道路でETCを使って通過するだけで素早く料金決済ができるスマートIC、インターネットで新幹線予約ができるスマートEX、ニュースをスマホでいっぱい読めちゃうスマートニュースとか、いろいろありますね。
そんななか、法務省も出しちゃいました「スマート変更登記」です。
スマホで素早く登記手続ができちゃうとかでは「ない」ですよ。誤解なきよう。
来年(2026年)4月1日に、所有権登記名義人の住所や氏名等の変更登記(名義変更登記)についての義務化が施行予定となっていますが、この名義変更登記の義務化に対する負担軽減策として、改正法において登記官の職権による名義変更登記の制度が創設(施行後の改正法第76条の6)されました。
この職権での変更登記のことを「スマート変更登記」と名付けたようです。
所有権移転登記等の手続きを申請する際には、今年(2025年)4月21日から、この職権登記のための検索に用いる情報(氏名・かな・住所・生年月日・メールアドレス)を申出る必要がありますが、特にそのような登記申請をしない場合でも不動産の所有権登記名義人はこれら検索用情報を申出しておけば、登記官の職権による名義変更登記の対象となり得ます、ということを当メルマガのバックナンバーでもご紹介しました。
こんなやつ↓
第601号【法令改正情報】
2025年4月21日から、不動産の所有権移転登記等で所有権登記名義人になる人の氏名ふりがな・生年月日・メールアドレスを法務局に提供することが必要となります
https://houkairoumerumaga.seesaa.net/article/hmm601.html#1
ですので、2025年4月21日「以降」に不動産の所有権登記名義人になるような場合には、登記申請をすると同時に「スマート変更登記」の対象となります。
一方で、2025年4月21日より「前」に不動産の所有権登記名義人になっているような場合に「スマート変更登記」の対象となりたいのであれば、別途、申出をする必要があります。
この申出の方法は、どうやらウェブブラウザ上で手続きをすることができるようになるみたいですが、本記事執筆時点では詳細を法務省のサイトで確認することはできませんでした。
「スマート変更登記」に関しては、法務省が詳細な解説サイトを公開していますので、ご興味がある方は以下のURLよりご参照ください。
法務省「スマート変更登記のご利用方法」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00688.html
(編集長)
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【法会労って?】
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法会労(正式名称:法律会計特許一般労働組合)は,法律事務所など士業の事務所で働く事務員・秘書などでつくられている労働組合です。
法律事務所等で働く方であればどなたでも,ひとりでも入れる労組(ユニオン)です!
法会労の詳細はホームページをご覧ください。労働相談も随時受け付けております!
法会労ホームページ
http://www5a.biglobe.ne.jp/~houkairo/
オンライン相談申込フォームもあります↓
http://form1.fc2.com/form/?id=801887
法会労の紹介パンフレットはこちら↓
https://houkairou-mail-magazine.com/chirashi/panfuhoukairou.pdf
組合員の女性が集う女性部のブログもあります↓
https://houkairou-joseibu.at.webry.info/
組合員の若手が集う青年部公式LINEあります。友だち追加しちゃおう!↓
https://lin.ee/Nf6i6Xt
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【ご意見・ご感想・ご質問は…編集部へ!】
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このメールマガジンへのご質問などは,以下のいずれかの方法で編集長に直接届きます。
■届いたメールマガジンに「返信」する
■編集部のメールアドレス:
houkairoumerumaga@gmail.com
にメールする
編集長のみが見て,お返事もしていますので,どうぞお気軽にご連絡ください!
今回の記事はいかがでしたか?
ご意見・ご感想を頂ければ幸いです!
メルマガに関すること以外の法会労についてなどもお気軽にお問い合わせ下さい!
ご連絡お待ちしています!
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【今週の雑学知識】
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東京「高裁」をインターネット検索しようとして誤って東京「交際」と検索してしまうと、会員制のデートクラブが真っ先にヒットする
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【編集後記】
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判決の主文を聞き取りすることってあるでしょうか?
訴訟代理人をやっている事件であれば、判決言渡期日の後に裁判所に電話して聞くと教えてくれますね。
もちろん事前に弁護士に確認してからですが、うちではすぐに裁判所に判決正本を取りに行っちゃうので、主文を確認するようなことは稀ですね。
ですが、先日、同僚が判決正本を取りに行ったら、「もう郵送しちゃいました」ですって。
依頼者さんから弁護士にどうなったかしきりに問い合わせが入っていた事案でしたので、弁護士からもすぐに判決正本取ってくるように言われていたのでした。
弁護士に報告し、仕方がないので裁判所に電話して主文を聞き取ることにしました。
担当部に電話します。書記官に主文教えてって聞きました。
そしたらですね、ばばばーと読み上げるんですよ。
そんなの聞き取れるわけないじゃん。正確に弁護士に伝えるんだからメモするわけですよ。
途中「大丈夫ですか?」って書記官さん聞いてくれましたけど、はい、大丈夫じゃないです。
最初に戻って少しずつ聞いてメモしていきます。これが長いの。
もう、なんで判決正本即座に郵送しちゃったんだよと何回も思いましたね。
私も、言渡しがあったらすぐ、もっと早く事前に取りに行くって裁判所に電話しておけば良かったんですけどね。
事前に、電話しておけば良いのにね、私。電話しておけば良い私。電話しておけばいいわたし。言渡しだけに。うまくないわ。
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(編集長)
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