【第364号】郵便料金の値上げを知らない!?執行費用の根拠条文

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週刊 法会労メールマガジン

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毎週金曜日発行

2020年3月13日

【第364号】

法律事務所等で働くみなさんこんにちは!
法会労メールマガジンです。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で何となく世の中自粛ムードですね。
都心は人が少なく感じます。
いつも並んでいる行きつけのラーメン屋も最近は並ばず入れます。

裁判所も空いているかと思いきや,いつもあまり混んでいることがないので影響があるのか分かりません。
むしろ先日午前中に民事事件受付に控訴に行ったらいつもより混んでいるような気がしました。

書記官さんもせっせとお仕事されていまして,リモートワークとは無関係な世界だなぁと感じました。
民事裁判手続きのIT化で,果たしてこのようなお仕事環境も変わっていくのでしょうか?


(編集長)



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【今週の掲載記事】
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■お役立ち過去記事紹介

■お仕事体験記
郵便料金の値上げを知らない!?執行費用の根拠条文

■研修会等企画のご案内

■業務に役立つ書籍紹介

■裁判手続のIT化情報
フェーズ1におけるWEB会議 本年5月から5庁に運用拡大 日時決まる

■事務員あるある

■法会労って?

■今週の雑学知識

■編集後記



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【お役立ち過去記事紹介】
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同じ住所に10棟以上の建物がある案件での住所調査を題材に,対象者がそこに「住んでいないこと」を裁判所に報告するためにはどうすればいいか?2つの作戦計画,その内容をご紹介しています。

第282号【お仕事体験談】
同じ住所の建物がなんと10棟以上! 送達できないどうする?
その3 住民票基本台帳の閲覧等作戦の概要
https://houkairoumerumaga.seesaa.net/article/201807article_3.html



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【お仕事体験記】
郵便料金の値上げを知らない!?執行費用の根拠条文
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例えば,AさんがBさんにお金を貸したけれども返してくれないので裁判を起こしたとして,勝訴判決を得たけれどもBさんは任意にお金を返してくれないというような案件があるかも知れません。

そのような場合に,AさんがBさんに強制的にお金を返してもらう方法として,裁判所に強制執行の手続きを申し立てることがありますね。

Bさんのもっている銀行口座に入っているお金を差し押さえる(債権執行)や不動産を強制的にお金に換えてしまう(不動産執行)等によって,裁判所という国家権力を利用して強制的にAさんからお金を返してもらうわけです。

国家権力という話から急に細かい話になりますが,この強制執行を裁判所に申し立てるためには,当然ですが,無料ではできません。いろいろ細かいお金がかかります。

例えば強制執行の申立てにあたっては,裁判所から送達証明書を取り寄せる必要がありますが,証明書を発行してもらうには申請書に150円の収入印紙を貼り付けなければなりません。
また執行文の付与申立てには300円の収入印紙を収める必要があります。
それらを郵送で取り寄せるには,往復の郵便切手代がかかります。

これらの細かい費用(執行費用)は,本来,Bさんが任意に支払いをすればかからなかったものを,Bさんが支払いをしなかったがために発生せざるを得なかった費用ですので,AさんはBさんにその支払いを求めることができることが,法律や規則で決まっています。

当メルマガのバックナンバーでは,ちょっと込み入った案件での執行費用の経験談やその根拠条文をご紹介したことがありました。

バックナンバーはこちら↓
第165号 【お仕事マメ知識】
めんどくさい債権執行の執行費用
https://houkairoumerumaga.seesaa.net/article/201603article_2.html

第166号 【お仕事マメ知識】
執行費用の根拠条文
https://houkairoumerumaga.seesaa.net/article/201603article_3.html

今回は,この執行費用について,読者の方から「オイオイ、待ってくれヨ」と思わざるを得ない裁判所受付窓口での対応の経験談をお寄せいただきましたのでご紹介します。


(編集部)



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消費税が10%になったことに伴い、郵便料金も変更されたことは、皆さんご承知のとおりと思います。

メルマガ165号、166号で紹介されている債権執行で請求できる執行費用のうち、「差押命令正本送達費用」も郵便料金の改定に伴い変更されていることと思います。

東京地裁・民事第21部債権執行部では、執行費用として計上できる額を、2019年10月1日付で改定しています。

この点については、普通郵便、書留料金、特別送達料金等を計算すれば、この金額になるなと納得できると思います(だからこそ、東京地裁・民事21部が改定版をHPに挙げているわけですよね)。

問題は、(というか、個人的に「オイオイ、待ってくれヨ」と思ったのが、)強制執行の申立にあたり、申立書に執行文付与申立(165号、166号では「承継執行文付与申立」で紹介されています)に係る「上記申立書提出・受領費用」を「603円」と記載したところ、裁判所の受付担当から,その根拠を問われたことです。

昨年12月以降の申立で、東京地裁民事第21部で2度、東京地裁・執行官室で1度(動産執行申立における請求金額計算書に、同様の費用を計上したところ)、裁判所の受付窓口でその根拠を問われました。

送達証明書の「上記申請書提出・受領費用」は、これまで164円(提出用82円、受領用82円)であったところを、168円(提出用84円、受領用84円)で計上しても、何も言われないのに・・・。

郵便料金の82円が84円に、書留料金430円が435円に改定されたことで、執行文の「上記申立書提出・受領費用」は、これまで594円(提出用82円、受領用82円+430円)だったものが603円(提出用84円、受領用84円+435円)になりました。郵便料金改定という同じ理由で、「差押命令正本送達費用」も送達証明書の「申請書提出・受領費用」も増額されているのに・・・。執行文の申立・受領費用についてのみ確認を求められることが、なんともモヤモヤします。郵便料金の改定は周知の事実と思いますがねえ。

特に、東京地裁・民事第21部は自らが、郵便料金改定に伴って、執行費用として計上できる額を改定しているのに、「オイオイ、ちょっと待ってくれヨ」という気持ちになったということです。

もちろん、根拠条文を伝えたら、何の問題もなく受付をされましたし、執行官室では、奥に座っている先輩事務官が、「債務名義での申立だから、問題ないよ」と言ってくれたそうで、大騒ぎにはならずに済んだのですが、根拠条文を確認しておくことは、大事なことだと感じた次第です。


(J法律事務所M)



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【バックナンバー】
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【第361号】
■裁判手続きのIT化情報 民事裁判手続等IT化研究会報告書が公表! 概要その6 各種手数料は全面電子納付に/
■お仕事体験記 大きい会社に電話したときの話
https://houkairoumerumaga.seesaa.net/article/202003article_1.html

【第362号】
■コンビニで自分の住民票の写し原本を取ってみた/
■戸籍等謄本の職務上請求用紙(A用紙)の記載位置が変化
https://houkairoumerumaga.seesaa.net/article/202003article_2.html

【第363号】
■パソコンでの仕事がちょっと早くなるかもしれない小技集 日付入力・コピー履歴・サイト起動/
■お仕事ミニ情報 登記情報提供サービスでもQRコード
https://houkairoumerumaga.seesaa.net/article/202003article_2.html


360号以前も含め全てのバックナンバーは以下からご覧いただけます。
週刊!法会労メールマガジン バックナンバーブログ
https://houkairou-merumaga.at.webry.info/



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【研修会等企画のご案内】
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■■■ 東弁主催 事務員研修情報 ■■■

※2020年度より研修申し込みの方法が変わります。
(1)東弁会員が在籍している(事務職員ID上の雇用弁護士が東弁会員である)場合と(2)そうでない場合で申込方法と受講料が変わります。

(1)の場合には従前どおり事前申込みが可能で,受講料も従前どおり1000円です(但し,当日申し込みは2000円)。

(2)の場合には事前申し込みできません。当日空きがある場合に先着順で申し込みができます。受講料は2000円となります。

詳しくは東弁サイト「法律事務職員の方へ」ページ掲載の法律事務職員研修の申込方法文書をご参照ください(PDF文書)↓
https://www.toben.or.jp/pdf/2020_jimushokuin_moushikomi.pdf

2020年度に開催される東京弁護士会主催の法律事務職員研修会の情報です。基礎講座と中級講座があります。
詳しくは東弁サイト「法律事務職員の方へ」ページをご覧ください↓
https://www.toben.or.jp/syokuin/index.html

講座の一覧は以下のURLからご確認ください。
基礎講座(PDF文書)↓
https://www.toben.or.jp/pdf/begginer.pdf
中級講座(PDF文書)↓
https://www.toben.or.jp/pdf/middle.pdf


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【業務に役立つ書籍紹介】
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■「法律事務職員【基本】研修テキスト」

「法律事務職員基本研修テキスト」(上)(下)は、「日弁連法律事務職員能力認定制度研修」の参考図書として2014年に刊行され、多くの法律事務職員・弁護士の皆様にご活用いただいてきました。この度大幅な改訂を行い、第2版を発行いたしましたのでご案内申し上げます。

この間の実務の変更点や法改正、特に2019年7月から一部を残してほぼ全面的に施行された改正相続法、2020年春には施行が予定される改正民事執行法に対応し、実務的な変更事項や新たな制度を詳しく解説しています。

(上巻)
第1編 民事訴訟と事務職員の役割
第2編 民事執行総論・債権執行
第3編 民事保全・担保取消手続
第4編 債務整理・破産・個人再生
(下巻)
第5編 戸籍並びに登記簿の仕組みと見方
第6編 家事事件・人事訴訟
第7編 相続
第8編 刑事事件・少年事件
事務職員倫理

各2,500円+税→(割引)各2,250円+税
詳細と購入方法は以下URLからチラシをご確認ください(PDF文書)。
【メルマガ読者限定割引チラシ】
https://houkairou-mail-magazine.com/chirashi/jalapsyosekizenkan_merumagayou.pdf

なお、他の書籍につきましても価格や送料の変更がありますので、上記チラシの申込み書をご利用下さい。



■法律事務職員のための実務情報誌「法律事務」
「相続実務」
~事務職員が関わる いろいろな相続手続き~

相続とはなんぞや?ということから、預貯金等の金融資産や不動産をはじめとする様々な財産の換価や名義変更まで。
多岐にわたる相続実務を、事務職員目線で注意すべきポイントを中心にまとめました。
弁護士の急な指示にも対応できる参考書式も盛りだくさん。
事務職員の皆さんの実務に役立つ一冊です。
2018年1月発行
頒価1,000円(税込・送料別)
ご購入申込み及び詳細は以下の「法律事務」のページをご参照ください。
https://houzenren.com/houritujimu.html


■応用研修テキスト
応用1 訴訟以外の民事手続,裁判外手続
応用2 不動産競売,その他の民事執行
応用3 自己破産手続,個人再生手続
応用4 破産管財
応用5 成年後見
応用6 登記,供託,担保取消
応用7 民事訴訟の構造,弁護士倫理と事務職員倫理

実務に直結した普段の業務にも役立つ情報満載となっていてオススメです!
日弁連事務職員能力認定研修の【応用】研修のテキストとなっています。
発行者のご厚意でメルマガ読者割引をして頂いています!

【メルマガ読者限定割引チラシ】
https://houkairou-mail-magazine.com/chirashi/jalapsyosekizenkan_merumagayou.pdf


■シリーズ 法律事務所職員のための
「家事事件申立ての実務」」
「法律事務職員のための訴額・管轄事例集」
メルマガ読者限定!割引あり!
各1,600円+税→(割引)各1,500円(税込)
詳細と購入方法は以下URLからチラシをご確認ください(PDF文書)。
【メルマガ読者限定割引チラシ】
https://houkairou-mail-magazine.com/chirashi/jalapsyosekizenkan_merumagayou.pdf



■今日から弁護士秘書~事務職員新人独習テキスト
法律事務員さんの日常業務のキホンのキをコンパクトな分量で解説しています。書籍版は200円で販売していますが,PDF版はなんと!無料で配布しています。
法律事務所用語集では「J庁」「赤い本・青い本」「Z折り」など初心者には「なんのこっちゃ?」な用語が集められています。
https://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/publication/book/secretary.html



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【裁判手続のIT化情報】
フェーズ1におけるWEB会議 本年5月から5庁に運用拡大 日時決まる
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民事裁判手続きのIT化の第一段階(フェーズ1)として,マイクロソフトTeamsを利用した裁判期日におけるWEB会議が,高裁所在地の地裁本庁8庁と知財高裁で,2020年2月3日から,実施されています。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあって,出頭せずにWEB会議で実施可能な期日は極力WEB会議を利用する対応を進めている裁判所もあるという話も聞いています。

今後,このフェーズ1におけるWEB会議は,現在の裁判所9庁だけでなく,他の裁判所でも運用が拡大していく見込みです。

現時点で分かっているのが,横浜・さいたま・千葉・京都・神戸の各地裁で,本年5月から運用が開始される予定であることです。

そして,今般,この5庁における運用開始日時が明らかとなりましたのでお知らせします。
上記裁判所5庁におけるフェーズ1の運用開始日時は,2020年5月11日(月)午前10時からです。

本格的運用開始前には,最初に運用が始まった裁判所9庁のように,裁判所から利用するメールアドレスの確認が入ったり,接続テストをしたりといった準備がされることになるでしょう。

新たに始まる地域に事務所がある方ばかりでなく,上記5庁に事件が係属することもあるでしょうから,遠隔地に出向かずにもWEB会議で実施可能な裁判期日があることを念頭に,機器や使い方等をしっかり用意しておきたいものですね。


(編集長)



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【事務員あるある】
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事務連絡等のファクシミリで,2枚目が1行だけとかやめて欲しいと思う



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【法会労って?】
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法会労(正式名称:法律会計特許一般労働組合)は,法律事務所など士業の事務所で働く事務員・秘書などでつくられている労働組合です。

法律事務所等で働く方であればどなたでも,ひとりでも入れる労組(ユニオン)です!


法会労の詳細はホームページをご覧ください。労働相談も随時受け付けております!
法会労ホームページ
http://www5a.biglobe.ne.jp/~houkairo/
オンライン相談申込フォームもあります↓
http://form1.fc2.com/form/?id=801887

法会労の紹介パンフレットはこちら↓
https://houkairou-mail-magazine.com/chirashi/panfuhoukairou.pdf
組合員の女性が集う女性部のブログもあります↓
https://houkairou-joseibu.at.webry.info/
組合員の若手が集う青年部のブログもあります↓
https://ameblo.jp/seinenbu-hkr/



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【ご意見・ご感想・ご質問は…編集部へ!】
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このメールマガジンへのご質問などは,以下のいずれかの方法で編集長に直接届きます。


■届いたメールマガジンに「返信」する
■編集部のメールアドレス:
houkairoumerumaga@gmail.com
にメールする

編集長のみが見て,お返事もしていますので,どうぞお気軽にご連絡ください!

今回の記事はいかがでしたか?
ご意見頂ければ幸いです!

メルマガに関すること以外の法会労についてなどもお気軽にお問い合わせ下さい!

ご連絡お待ちしています!



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【今週の雑学知識】
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警察官は、その職務の遂行のため小型武器を所持することができる。

(警察法第67条)



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【編集後記】
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以前,当メルマガで「法律事務所的パソコンの誤変換コンテスト」を開催したことがあり,非常に人気を博しました。

法律事務所では専門用語を使うことも多いので,パソコンの誤変換は発生しがちと言えるでしょう。
そんな誤変換のうち,面白い・味がある・切ない,そのような趣のあるものを作品として募集してコンテストしたものでした。
これまで第3回まで開催しました。

第1回の作品と投票結果↓
https://vote1.fc2.com/poll?mode=browse&uid=24763995&no=1

第2回↓
https://vote1.fc2.com/poll?mode=browse&uid=24763995&no=2

第3回↓
https://vote1.fc2.com/poll?mode=browse&uid=24763995&no=3

第4回を開催しても良いのですが,実のところ存在をすっかり忘れていました。
それが急に今日になって,面白げな誤変換が発生したので,思い出しました。

(誤)「東京地検令嬢部」
あの重々しい雰囲気の建物の中に華やかなゾーンがありそうなのが目に浮かびます。

また気が向いたら第4回誤変換コンテスト,急な思い付きで開催したいと思います。
ネタをストック願います!

本号も最後までお読みいただきありがとうございます(^0^)/


(編集長)



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週刊 法律会計特許一般労働組合メールマガジン 編集部

お問い合わせ・配信停止などのご連絡は
〒101-0044
東京都千代田区鍛冶町2-9-1
電話 03-3255-9280
メール houkairoumerumaga@gmail.com
ホームページhttp://www5a.biglobe.ne.jp/~houkairo/
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